このページはときおり業界用語が出てきますが「こんな織物もあるんだな」というような、軽い気持ちでみてください。織物は基本的に平織り、綾織り、朱子織り(この三つを三原組織と呼びます)が有りますが、ここ村櫛地方はその三原組織に無い搦織(からみおり)という特殊な織物の全国シェア8割以上を誇っています。ここではその搦織の基本を説明しています。

どんな種類があるのでしょう?
大変美しい透け感の表現が出来る搦み織は、捩織(もじりおり)ともよばれ、基本的には紗、絽、羅の3種類に分けることが出来ます。この中で織機を使って織れるのは紗、絽の2種類です。
大きな特徴として、普通の織物は経糸と緯糸は直角に交錯し、経糸同士は平行になっていますが、搦み織では経糸同士が平行にならず、 お互いに搦み合い、その間に緯糸を入れて織られています。
紗イメージ 紗
紗は、緯糸1本ごとに隣同士の2本の経糸を1組として搦ませています。
絽イメージ 絽 絽は、奇数(3本、5本、7本)段の平織りまたは綾織りを組織したあと、隣同士の2本の経糸を搦めさせ、繰り返している組織です。
写真の場合は「3本平絽」になります。
羅イメージ 羅 羅は、宇須波多(うすはた)とも呼ばれます。紗・絽は隣同士の2本の経糸が1組となって搦んでいますが、羅では3本以上の奇数の経糸が互いに搦んでいます。
このため、筬を使う織機では織ることが出来ません。
ちなみに左の写真はおもちゃの「おりひめ」をつかって織りました。
3本の経糸が搦んでいるものを3本羅(網捩)、5本の経糸が搦んでいるものを5本羅(蘢捩)とよびます。

搦み織のバリエーション
他にも経糸の交錯の方向、位置、数、太さ、テンション、他の織り方との組み合わせ等により、数多くのバリエーションを構成することが出来ます。


その歴史は?
搦み織には紗、絽、羅の3種類がありますが、その中で最も複雑な物が羅であり、そして最も古い歴史を持っています。 仲哀天皇9年新羅よりの貢物として、はじめて伝わったと日本書紀に記されていますが、本格的には4世紀前半ころから伝わりはじめ、5世紀には織ることが出来たようです。622年(推古天皇30(飛鳥時代))にできた《天寿国繍帳》に用いられ、また奈良時代には最も羅の製織が盛んであったろうことが、正倉院の遺品の多さからも知ることが出来ます。 しかし鎌倉時代に入ると皇室の力が衰えるに従い、羅も次第に姿を消していきましたが、16世紀に入って明から紗の織法が伝えられ、羅に変わって織られるようになりました。
現在では浜名湖に面した村櫛地区が全国の8割を越す生産を誇っています。昭和初期、搦み織物はヨーロッパから輸入されていましたが、神奈川県の某企業が昭和5年にその試作に成功し、同10年頃村櫛地区に技術を導入したのがきっかけとなりました。